宇宙の果てはあるのか?宇宙の始まりは?どうやってできたのか?そんな疑問を抱いたことはあるでしょうか。 これらは非常に難解なテーマで、人類は大昔から様々なアプローチでこれらの謎に挑んできました。
この記事では、宇宙についての最低限の知識を順を追って解説し、最後に宇宙の果てについても考察してみたいと思います。
1. 太陽系 - 恒星と惑星
まずは私たちの住む太陽系を見てみましょう。次のイメージをご覧ください。
こちらは誰でもよく知ってると思います。一番左が太陽で、順番に「水金地火木…」と覚えましたね。
太陽のように自ら光や熱を発する天体を『恒星』と呼びます。そしてその恒星の周りを回る(公転している)星を『惑星』と呼びます。
地球は太陽に3番目に近い惑星なので第3惑星ということになります。
また、惑星の周りを回る天体を『衛星』と呼びます。地球の衛星は月ですね。
(ちなみに木星の衛星は80個近く発見されているとのこと。)
このような天体のひとまとまりを『系』と呼び、上の画像のような恒星と惑星のひとまとまりを『惑星系』と呼びましょう。
私たちの住む惑星系は太陽という名の恒星のまわりを回る惑星の集まりなので特別に太陽系という名が付いています。
さて、星空を思い浮かべてみてください。とても数えきれない星が輝いています。あれらは全て、遥か遠くにある恒星なのです。
地球から肉眼で見える惑星もありますが、水星、金星、火星、木星、土星のみで、月と同じように太陽の光を反射して光っているように見えています。
つまり、肉眼で見える範囲だけでもあんなにたくさんの恒星があるのです。その分、もちろん惑星もたくさんあるということです。
人間と同じような生物の住む惑星もありふれているのかもしれません。
それでは、そのような惑星系はこの宇宙にどのように存在しているのでしょうか?
これはおまけですが、流れ星とは何なのか考えたことがあるでしょうか?実はあれは1mmほどの砂粒なのです。 ものすごい速度で大気に突入するため、砂粒に空気が圧縮され高温になり燃焼したものが流れ星です。
2. 銀河系 - 壮大な宇宙
惑星系の次は銀河系です。銀河系とは何か知っているでしょうか。まずは下の画像をご覧ください。
この写真は、NASAのGALEXという宇宙望遠鏡が捉えた『アンドロメダ銀河』の実際の写真です。 私たちの住む太陽系があるのは『天の川銀河』で、アンドロメダ銀河は天の川銀河から250万光年(1光年=光が1年かけて進む距離)の距離にあり、肉眼で見えるとのことです。
さて、この銀河の写真を見ると無数の光が集まっているのがわかります。もうお分かりだと思いますが、これら一つ一つが恒星(惑星系)なのです。
アンドロメダ銀河には1兆個の恒星が存在すると言われています。銀河系がいかに壮大な天体か伝わったでしょうか。
また、銀河系の中心には超巨大ブラックホールがあると言われています。(ブラックホールについては別記事で改めて詳述したいと思います。)
ちなみに、写真を見るとアンドロメダ銀河は円盤状になっていることがわかりますが、私たちのいる天の川銀河も同じように円盤状になっていて、太陽系は円盤の外側寄りに位置しています。 では、地球から銀河の中心の方向を見るとたくさんの恒星が集中して見えることになります。これが『天の川』です。
3. 銀河団 - 宇宙の全体像
次は銀河団です。どんなものかは名前から想像できますね。実際の写真を見てみましょう。
こちらはハッブル宇宙望遠鏡が捉えた実際の写真です。たくさんの銀河が集合していることがわかりますね。
惑星系が集まって銀河系に、そして銀河が集まって銀河団に、そして我々の住む天の川銀河と隣のアンドロメダ銀河の距離が250万光年でした。
この写真がいかに壮大なスケールの宇宙を映し出しているか、想像すると非常に神秘的な光景です。
このように銀河同士が互いの重力によって引き寄せ合い集まることでこのような系を形成します。
つまり、銀河は宇宙に均等にバラバラに散らばっているのではなく、重力に引き寄せられ集まっていたり逆にほとんど星が存在しないところがあったりします。
そして、観測によって銀河はたくさんの泡のようとか蜂の巣のようと例えられるような形に集まっていることがわかっています(宇宙の大規模構造)。
これは、宇宙の初期の頃に存在した物質の密度のゆらぎが宇宙の膨張により引き離された結果、極端な疎密ができたと考えられています。
さて、ここまで読んでいただいたあなたは基本的な天体についての正しい知識が既に身についています。
しかしこれらはまだほんの導入で、宇宙にはまだまだ不思議な自然現象があふれているのです。
4. 宇宙の果て
いよいよ『宇宙の果て』について考えてみます。現在、宇宙の年齢は様々な予測や観測から138億年と言われています。
太陽から発せられた光が地球に届くまで約8分かかります。つまり私たちが見ている太陽は約8分前の姿だということになります。
本記事で何度も出てきたアンドロメダ銀河は、私たちの住む天の川銀河の隣にあり、その距離は250万光年です。つまり私たちの見ているアンドロメダ銀河は250万年前の姿なのです。
つまり、遠くのものを見ることで宇宙の過去の姿を見ることができるのです。
では、うんと遠くを見れば、できたばかりの宇宙の姿も見えるのでしょうか?
その通りです。138億光年先の宇宙を観測すると宇宙初期の光(宇宙背景放射)が観測できます。
それよりも過去には宇宙は存在しなかったので、138億光年より先の宇宙は存在しません。つまりこれが宇宙の果てということになります。
しかしここで疑問が生まれます。地球と138億光年の距離にある星から見ると、地球も宇宙の果ての上にあることになります。実はこれもまた正しいのです。
もう少し補足すると、宇宙には観測可能な限界点があり、これが宇宙の果てと言えます。しかし本当の意味での果てというのは存在しないと考えられているのです。
ドーナツの表面に端がないように、宇宙も全ての地点がつながっていて端はないと考えられているのです。
まとめ
物理学とはその名の通り「物(もの)」の「理(ことわり)」を探求する学問です。 車や飛行機、コンピューターなど、科学技術が発展して私たちの生活は非常に豊かに、便利になりました。 一方、宇宙のことを調べて一体何の役に立つのでしょうか。宇宙がどうやってできたのかがわかったところで、すぐに私たちの生活に影響があるわけではないかもしれません。
では何故、世界中の物理学者たちが宇宙の研究をしているのでしょうか?
それは「真理を究明したい」という純粋な知識欲だと私は思います。科学技術によって生活が豊かになったと先ほど述べましたが、
それはこの欲求に従い研究する過程で生み出された原理・法則を利用して作られているのです。そうして多くの謎が解明され、英知として人類の財産になりました。
そして今、物理学は人類最大の謎である宇宙の解明に大きく近づいているのです。
今回はここで終わりにしますが、宇宙にはまだまだ不思議な自然現象がたくさんあります。
私たちは地球で生まれた生物で、想像できる物事には限界があります。例えば、車や飛行機ぐらいの速度のことは理解できますが、光速の世界の現象を簡単には理解できないと思います。
原子や素粒子のような小さな世界の現象も理解し難いものばかりです。物理学を学ぶことはこのような世界を理解するための唯一の方法です。
少しでも皆さんの知的好奇心を刺激するべく、今後もいろいろなテーマについて取り上げていきたいと思います。