【IT業界】分類と特色とキャリアプラン例を紹介!

2020年03月14日
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昨今、高校生が将来なりたい職業ランキングで第1位になるなど、ITエンジニアは人気職になりつつあります。
もしかすると彼らは、ITエンジニアは私服で出社し、おしゃれなオフィスでフリーアドレスで自由にのびのび働く様子を イメージしているのかもしれません。
しかし、実は一昔前までエンジニア=激務でブラックだと言われ、今でもそのイメージは根強く残っています。

では実際のIT業界はどうなのでしょうか。

IT業界と一言に言っても、大きく分けても複数種類の業界があり、それぞれで特色も違います。
私は就職してからずっとIT業界でエンジニアとして働いており、 事業形態の違う3社を経験してきました。そして現在は独立してフリーランスエンジニアとして働いています。
この経験から、それぞれの業界の特色やイメージ、その実情を紹介していきたいと思います。
あくまで個人的なイメージですが、 これからエンジニアを目指す学生や就活生、また転職を検討している現役エンジニアの方などの参考にしていただければと思います。

1. IT業界の分類

一言にITエンジニアといっても業界によって必要な技術や知識も違いますし業務内容も大きく違っています。
もしあなたがIT業界へ就職を考える場合、まず 自社サービスがある会社かそうでないかを重要視した方が良いです。 これによって特色も業務内容も大きく異なってくるからです。

2. 自社サービス会社

自社サービスとは例えば、ニュースサイトやECサイトなどのウェブ業界と、スマホアプリやゲーム業界が挙げられます。
自社サービス会社は上で述べたような私服出勤で自由に働くイメージの業界です。 ただ、自社サービスを持っている会社は数が限られていますし、大勢のエンジニアを社内で抱えず少人数で開発を行うことが多いです。 (もちろん規模によりますが。)
そのため求人自体が少なめで比較的競争が激しいかもしれません。
自社サービスというとBtoC(Business to Consumer:一般の人向け)のイメージですが、BtoB(Business to Business:企業・ビジネス向け)の製品を運営する会社もありますし様々です。

私は以前の会社で電子コミックサイトの立ち上げに携わりましたが、 業務内容は設計開発のような技術業務のほかに、サービスの向上のために様々な施策や企画が行われ、 毎日長時間ミーティングで数字の調査や案出しを行っていました。 モダンな高い技術力だけでなく、ここでの発言力や発案力も大きく求められました。 おそらく会社という組織の中で信頼を得るには、どの会社でも後者の方が重要になるだろうなと思います。 (技術より重要というわけではなく、技術力は身につけて当然という意味)

3. BtoB会社

さて、自社サービスを持っていないということはBtoB事業の会社ということになりますが、どのような事業形態なのでしょうか。
大雑把に分類すると主に企業からの依頼を受けて開発を行うSI(System Integration)事業か、 企業へエンジニアを派遣して工数を提供するSES(System Engineering Service)事業の2種類になります。

SIer (エスアイヤー)
まずはSIerの仕事や雰囲気について説明していきます。
SIとはシステム統合という意味ですが、例えば『業務毎に別々の社内システムを利用していて、 各業務間の連携を人の手に頼っているため効率が悪く、関連業務をすべて一つのシステムに統合したい』 というような社内課題があったとします。 しかし社内には大規模なシステム統合をするにはリソース(人手)も足りないし知識もないので内製できず外部へ発注したい。 このような発注を受けてプロジェクトを進めるのがSIerというわけです。だいたいコンサルも入って業務のフローを作り、 どうすれば業務改善・効率化するかを考えどのような技術を使用するか等々、検討して設計を進めていきます。

それではこのSIerの特色はどのようなものかというと、高稼働・高ストレスであることが多いです。 (あくまで私個人の経験による意見です!)
またクライアントを相手にする仕事なので堅く、スーツで働く案件が多いです。
かといって、じゃあSIerはオススメしないかと言うとそうでもありません。 大規模なプロジェクトを終えた時のやりがいもありますし、技術面以外の顧客とのビジネス的な駆け引きやプロジェクトをうまく進める方法 など、学ぶことが多く短期間で社会人として成長できます。タフな人にはオススメです。

SES
SESとはエンジニアを派遣したりして工数を提供する事業です。(正確には派遣契約とは異なります)
SESは基本的にはクライアント先に常駐ですが、リモートで働ける案件もありますし、 SEとして社内システムの運用保守をしたり、業務システムやBtoCサービスの新規開発案件もありますし、 案件の種類も様々ですので現場の雰囲気も様々です。
ただ、(あくまで私個人の経験による意見ですが!)7割ぐらいの人が無責任でやる気がないように感じます。 SESは案件も選べますし、自分の希望で案件を抜けることもできますし、かなり融通の利く職業なのですが、 基本的に現場ではメンバーとして働くため、マネジメントやリーダー、上流工程などの経験は積みにくいです。

そういう意味で、エンジニアがSES会社へ就職することは私はオススメしません。 (良く言えば気楽に働けるので、あえての選択ならいいと思いますが。)
ずっとSESしかしてこなかった人は、この先のキャリアの選択肢が限られてしまいます。 実際、SES会社から別のSES会社へ転職してわずかに収入を上げるというエンジニアが非常に多いです。

SESをしている若いエンジニアは、技術が身についたのなら今すぐ今後のキャリアプランを立てましょう。

4. キャリアプランの例

では、よくあるキャリアの例をいくつか挙げてみましょう。

・SES(業務システム) ⇨ SIer
こちらは最もよくある転職例です。 特に若手の場合、即戦力で経費のかからない人材はSIerからするとうれしいため就職難易度も高くないと思います。
・SES(BtoCサービス) ⇨ 自社サービス会社(BtoC)
同じくこれもよくある例だと思います。SESでWebエンジニアとしての経験を積み、Web会社へ転職するなどです。 ただし、上でも述べた通り自社サービス会社は競争が比較的激しいかもしれません。
・SES(BtoBサービス) ⇨ 自社サービス会社(BtoB)
これはBtoBの製品などの開発にSESで携わり、自社BtoBサービス会社に転職するというもの。 先ほどと同じく普通にありそうですが、なぜか私はこういう例を聞いたことがないのでわかりません。 おそらくBtoBの自社サービス会社は規模が大きく、給料も高いため競争が激しく、 上流の経験がないと就職が難しいのではないかと予想します。
・SIer ⇨ 自社サービス会社(BtoB)
これは多くはないですがあります。 例えば、SalesforceやSAPなど導入SI会社から、Salesforce、SAP本体への転職などです。実際に何人か知っています。
・SIer ⇨ コンサル
これはよくあります。 SIerとコンサルは業務が被る領域もありますし、経験が活かせるためです。 ただしSIerで上流の能力が高い人に限るかなと感じます。コンサルにいくと大幅な収入UPが期待できます。
・上記全て ⇨ フリーランス
これからは個人がそれぞれに稼ぐ時代です。 フリーランスは不安定だと思われがちですが、特にIT業界はフリーランスでも仕事がとりやすく、今後どんどん増えるだろうと思います。 収入も大幅UPが期待できます。

たくさん例を挙げてみましたが、 BtoB業界からBtoC業界(またその逆)の例がないのにお気づきでしょうか。 実は同じIT業界でもBtoBとBtoCではかなり毛色が違うのです。 そのためこのキャリアチェンジはハードルが高いです。 実際に私はSIerからBtoCの自社サービス会社を何社も受けましたが、内定率は2割程度でした。
最後に、昨今では新しい技術や製品が次々に登場し移り変わりも激しい世の中です。 大学を卒業して就職した会社に一生務めるという考えもかなり薄まっており、 特にエンジニアは転職ありきでプランを考えると様々な可能性があるということをわかっていただけたかと思います。
どうすればいいかわからないとか質問したいという方はぜひご連絡ください。 あるいは、転職エージェントなどに相談して他人の意見を聞いてみるのも良いと思います。

何も考えずに何年も過ごすのではなく、きちんと将来を考えて行動するための参考になれば幸いです。


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Yoshiyuki Uemoto

Twitter :@yu___space
1991年生まれ / フリーランス webエンジニア
主にSalesforce、PHP(Laravel)等が専門です。物理学科出身で特に宇宙分野(素粒子など)が好きです。
プログラミング / 物理学 / 宇宙 など、その時々に思ったことを書いていきたいと思います。